【初心者向け】民泊の届出手続きと流れを徹底解説

「民泊を始めたいが、何から手をつければよいか分からない」
「手続きが難しそうで不安」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

民泊(住宅宿泊事業)は、正しい手順に従って準備・手続きを進めれば、届出後スムーズに事業を開始することが可能です。
しかし、必要な書類の準備や、事業開始後の義務など、注意すべき点も多く存在します。

本記事では、民泊の届出概要から、実際の手続きの流れまでを、初めての方にも分かりやすくステップごとに整理して解説いたします。
スムーズな事業開始のために、ぜひ最後までご確認ください。

民泊とは

民泊とは、自身が所有または使用する住宅を、旅行者等に貸し出し、宿泊料を受け取る事業を指します。
たとえば、空き家となった実家や使用していない自宅を宿泊施設として活用するイメージです。

民泊は、「住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)」に基づいて運営されます。
この法律により、民泊として宿泊させる日数は年間180日以内に制限されています。
(概ね半年程度の営業が可能と考えるとイメージしやすいでしょう。)

民泊を始めるには

民泊を開始するには、住宅所在地を管轄する都道府県知事等に対し、「住宅宿泊事業届出」を行う必要があります。
これは、学校入学時に提出する入学届のように、「これから民泊を行います」と正式に申告する手続きです。

届出後、行政による審査を経て受理され次第、事業開始が可能となります。ただし、自治体により審査・標識交付まで一定期間を要する場合があるため、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。

民泊事業者に課される主な義務

民泊を運営するにあたり、以下の義務を履行しなければなりません。

  • 宿泊者の衛生・安全確保
    (例:浴室・トイレ等の清掃、火災報知器の設置など)
  • 宿泊者名簿の作成・保存
    (宿泊者の氏名、住所、宿泊日等を記録)
  • 標識の掲示
    (決められた様式の標識を、住宅の外から見やすい場所に掲示)
  • 周辺住民への説明および苦情対応
    (事前説明・苦情対応窓口の設置など)
  • 定期報告の提出
    (宿泊実績を所定の期間ごとに自治体へ報告)

家主不在型民泊の場合

家主が住宅に常駐しない場合(不在型民泊)は、国土交通大臣に登録された住宅宿泊管理業者への管理委託が必要となります。
管理業者が宿泊者対応・設備管理等を代行する仕組みです。

年間営業日数超過の場合

民泊は年間180日以内に限られます。
これを超える営業を希望する場合は、旅館業法に基づく「簡易宿所営業許可」を取得する必要があり、施設基準や設備要件も大幅に厳しくなりますのでご注意ください。

民泊届出手続きの流れ

1.事前確認・準備

民泊開始前に、以下の点を確認・準備する必要があります。

(1)住宅の構造・設備要件

民泊住宅には、以下の4つの設備が必須です。

  • 台所(キッチン)
  • 浴室(シャワーのみ可)
  • 便所(和式・洋式いずれも可)
  • 洗面設備

※ユニットバス等の複合設備も認められます。
※同一敷地内にある場合、複数棟を一体として届出することも可能です。

また、火災報知器の設置、出入口の確保など、安全対策も求められます。
各自治体のチェックリストを活用し、事前確認を行いましょう。

(2)住宅の住居要件(居住実態要件)

次のいずれかに該当することが必要です。

  • 現に人が生活の本拠として使用している住宅
  • 入居者募集が行われている住宅(不動産サイト掲載等)
  • 所有者等が随時居住利用している住宅(別荘等で年1回以上利用)

証明資料(住民票、募集広告、利用証拠書類等)を準備しましょう。

(3)マンションの場合の注意点

マンションでは、管理規約等で民泊が禁止されている場合があります。
必ず管理規約および管理組合の方針を確認し、必要に応じて管理組合に相談してください。

(4)賃貸住宅の場合の注意点

賃貸住宅で民泊を行う場合は、賃貸人または転貸人の承諾書(書面)が必要です。
口頭ではなく必ず文書で取得するようにしましょう。

2.消防法令適合通知書の取得(届出前に必須)

民泊の届出を行う前に、住宅が消防法令に適合していることを証明する「消防法令適合通知書」を取得する必要があります。
取得の流れは、以下のとおりです。

【取得手順】

① 事前相談(推奨)

まずは、住宅所在地を管轄する消防署に事前相談を行います。
この段階で、民泊を予定している住宅について説明し、必要となる消防設備や、改善すべき点について具体的な指導を受けましょう。

🔵 ポイント
  • 消防署によって必要な設備や指導内容が異なる場合があるため、早めに相談することをおすすめします。

② 交付申請書の提出

事前相談で指導内容を確認した後、正式に「消防法令適合通知書交付申請書」を作成・提出します。
申請書には、住宅の所在地や施設概要など必要事項を正確に記載してください。

🔵 ポイント
  • 消防署によっては、建物の図面や消防設備の設置状況を示す資料の添付が求められる場合があります。

③ 現地調査(立ち入り検査)

申請後、消防職員が実際に現地を訪問し、住宅内の設備状況を確認します。
火災報知器の設置状況、避難経路の確保、消火器の設置などが、消防法令の基準に適合しているか詳細に調査されます。

🔵 例
  • 2階建て住宅の場合、避難経路が適切に確保されているか、煙感知器が各部屋に設置されているか、といった点がチェックされます。

④ 適合通知書の交付

現地調査の結果、特に問題がなければ「消防法令適合通知書」が発行されます。
この通知書は、民泊の届出時に必ず添付する必要があるため、大切に保管してください。

【注意事項】
  • 消防署ごとに、申請時に求められる書類や、現地調査の日程調整の方法が異なる場合があります。
    必ず、事前に消防署へ確認し、指示に従って手続きを進めることが重要です。
  • 住宅の状況によっては、火災警報器や誘導灯などの追加設置工事が必要となる場合もあります。
    工事には時間を要することもあるため、余裕をもったスケジュールで準備を進めましょう。

3.必要書類の準備

民泊の届出を行うためには、あらかじめ所定の書類を整えておく必要があります。
提出書類は「法人」「個人」いずれで届出を行うかによって一部異なりますので、区分ごとに確認しておきましょう。

【法人の場合に必要な書類】

  • 定款または寄附行為
    (法人の設立目的等を確認するために必要です)
  • 登記事項証明書
    (法人の登記情報を証明する書類です)
  • 役員全員分の市町村長発行の身分証明書
    (破産手続開始の決定を受けて復権していない者でないことを証明するもの)
  • (電子届出で電子署名を行わない場合)役員1名分の身分証明書(運転免許証等)

【個人の場合に必要な書類】

  • 本人の市町村長発行の身分証明書
    (破産手続開始の決定を受けて復権していないことを証明するもの)
  • (電子届出で電子署名を行わない場合)本人の身分証明書(運転免許証等)

【法人・個人共通で必要な書類】

  • 住宅宿泊事業届出書
    (所定の様式に沿って作成します)
  • 不動産の登記事項証明書
    (住宅の所有者を証明する書類)
  • 住宅であることを証明する書類
    (例:住民票、賃貸借契約書等)
  • 住宅の地図および間取り図
    (敷地内の建物配置、室内のレイアウトがわかるもの)
  • 賃貸人・転貸人の承諾書(賃貸物件の場合)
    (民泊利用についてオーナーの承諾を得たことを示す書類)
  • 管理規約の写し、管理組合の誓約書(分譲マンションの場合)
    (民泊可否の規定があるか、または管理組合の同意を確認するために必要です)
  • 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
    (暴力団関係者等に該当しないことを自己申告する書類)
  • 消防法令適合通知書またはその写し
    (届出住宅が消防法令に適合していることを証明)
  • 事前周知実施状況報告書
    (近隣住民への説明を行った場合、その実施状況を記載した書類)

【住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する場合に必要な書類】

  • 管理業者の現地到着時間および手段を記載した書類
    (緊急時対応の迅速性を確認するために必要です)
  • 管理業者から交付された契約書の写し
    (正式に業務委託契約を締結していることを証明します)

🔵 注意事項

  • 提出書類の様式や添付資料については、管轄する自治体により若干異なる場合があります。
  • 最新の提出先情報やフォーマットは、必ず各自治体の公式サイトや窓口にて事前に確認してください。

4.届出の提出

必要な書類の準備が整ったら、いよいよ民泊の届出手続きに進みます。
提出方法や提出先について、以下の通り確認しておきましょう。

【提出方法】

届出の提出方法は、次のいずれかとなります。

  • 電子申請
    国土交通省が運営する「民泊制度運営システム」を利用してオンラインで申請を行います。
    (推奨方法。自宅から手続きが可能であり、進捗状況もオンラインで確認できます。)
  • 紙申請
    居住地を管轄する窓口に書類を持参して直接提出、または郵送により提出します。
    (電子申請が難しい場合の代替手段です。)

🔵 ポイント

  • 電子申請の場合でも、電子署名に対応していない場合は、身分証明書類の提出が別途求められることがあります。
  • 紙申請の場合、郵送時の配達記録付き郵送(簡易書留など)を利用すると確実です。

【届出先】

届出は、以下のいずれかに提出します。

  • 住宅所在地を管轄する都道府県知事
  • 保健所設置市の長(※対象地域の場合)

(例)東京都内の場合、多くは「東京都住宅政策本部」への提出となりますが、横浜市・名古屋市・札幌市などの指定都市では、各市の担当窓口が窓口となります。

【注意事項】

  • 提出方法や受付窓口は、必ず事前に確認してください。
    管轄ごとに手続き方法、窓口の所在地、受付時間、必要書類のフォーマット等が異なる場合があります。
  • 繁忙期(例:大型連休前など)には審査に時間がかかる場合があります。
    希望する営業開始日に間に合うよう、余裕をもって手続きを進めることを推奨します。

5.審査・受理

民泊の届出書類を提出した後は、行政機関による内容審査が行われます。
この審査を通過し、届出が正式に受理されることで、民泊事業を開始できる状態となります。

【審査内容】

審査では、主に以下のポイントが確認されます。

  • 書類に不備がないか
    提出書類の内容に漏れや記載ミスがないか、必要な添付資料が揃っているかがチェックされます。
  • 要件をすべて満たしているか
    設備要件、住居要件、消防法令適合要件など、民泊に必要な条件を満たしているかどうかが審査されます。

🔵 ポイント

  • 不備や不足があった場合、行政機関から**補正(修正・追加提出)**を求められることがあります。
  • 書類不備による補正が発生すると、届出受理までに時間がかかるため、初回提出時に完璧な書類を用意することが重要です。

【受理後の扱い】

  • 問題がなければ、届出が正式に受理され、民泊事業を開始できる状態となります。
  • 受理後に特別な「許可証」や「認可証」が発行されることはありません。
    (※あくまで「届出受理」という扱いになります。)

【注意事項】

  • 受理後は、届出番号が発行されます。
    この届出番号をもとに、標識(民泊標識)を作成・掲示する必要があります。
  • 行政機関によっては、受理通知書や届出番号通知が郵送または電子交付される場合がありますので、確認方法も事前に確認しておくと安心です。

6.標識の掲示・事業開始

届出が正式に受理された後、民泊事業を開始するためには、所定の標識を掲示する必要があります。
標識の掲示は、民泊事業者に課された義務の一つであり、必ず事前に実施しなければなりません。

【標識作成・掲示について】

  • 標識(住宅宿泊事業標識)は、所定の様式に基づき作成します。
    • 届出番号、住宅所在地、住宅宿泊事業者の氏名・名称等を記載します。
  • 作成した標識は、住宅の外部から容易に視認できる位置に掲示してください。
    • (例)玄関付近の門扉、ポスト、玄関ドアなど、通行人や宿泊者から見える場所
🔵 ポイント
  • 標識は単なる目印ではなく、民泊事業が適正に届出されていることを示す重要な掲示物です。
  • 届出受理と同時に掲示義務が発生するため、営業開始前に必ず設置しておきましょう。
  • 標識内容に不備がある場合、行政指導の対象となることがありますのでご注意ください。

【民泊事業の開始】

標識を適正に掲示した後、正式に民泊事業を開始することが可能となります。
以降、宿泊者の受け入れ、宿泊料の徴収など、実際の営業活動を行うことができます。

🔵 注意点
  • 営業開始後は、宿泊者名簿の作成・保存、定期報告の提出など、事業者としての義務を継続的に履行する必要があります。

7.事業開始後の継続義務

民泊事業は、届出が受理され事業を開始した後も、法令に基づく義務を継続的に履行しなければなりません。
これらの義務は、民泊利用者の安全確保や、周辺住民との良好な関係維持のために非常に重要な役割を果たします。

【事業開始後に継続して行うべきこと】

  • 宿泊者名簿の作成・保存
    宿泊者の氏名、住所、職業、宿泊日等を正確に記録し、一定期間保存する必要があります。
    ※名簿の保存期間や記載事項については、住宅宿泊事業法で定められています。
  • 宿泊実績の定期報告
    所定の頻度(通常は四半期ごと)で、宿泊日数や宿泊者数等の実績を、管轄自治体に報告しなければなりません。
    報告方法や報告期限は自治体により異なるため、各自治体の指示に従って手続きを行ってください。
  • 標識の継続掲示
    営業期間中は、届出時に作成した標識を住宅外から常に見える位置に掲示し続ける義務があります。
    標識が破損したり、読みづらくなった場合は速やかに再作成・交換が必要です。
  • 周辺住民への苦情対応
    騒音やごみ問題など、周辺住民から苦情が寄せられた場合には、誠実かつ迅速に対応することが求められます。
    苦情対応の体制をあらかじめ整備しておくと、スムーズな対応が可能です。

【義務違反に対するリスク】

これらの義務を怠った場合、以下のような行政措置が講じられる可能性があります。

  • 改善命令
  • 指導・警告
  • 業務停止命令
  • 届出抹消(重大な違反の場合)
🔵 ポイント

義務違反が続いた場合、民泊事業の継続自体が困難になる恐れがあるため、日常的な運営管理を徹底することが非常に重要です。

まとめ

民泊事業を円滑にスタートさせるためには、

  • 事前準備(住宅要件・設備要件の確認)
  • 消防法令適合通知書の取得
  • 必要書類の整備と正確な届出
  • 継続的な義務の履行

を、着実に行うことが不可欠です。

本記事を参考に、確実な準備と適切な運営を心がけましょう。

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